きみとイギリス暮らし

イラストレーターkimixのイギリス留学&ワーホリブログ

「耳をすませば」は単なる恋愛映画じゃない

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渋谷にあるパン屋さん。ロイヤルミルクティがおいしい。

 

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砂糖をください、といったら「どうぞ」と手渡されたチビクロワッサン。この子の正体はブラウンシュガー。かわいい。


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「本を読んでもね、このごろ前みたいにワクワクしないんだ。こんなふうにさ、うまくいきっこないって心の中ですぐ誰かが言うんだよね。かわいくないよね。」

 

ひさしぶりに「耳をすませば」を見返して耳にのこったフレーズ。

なんだろうね。すごくよくわかるんだ。小さいころのあのわくわくがどんどん失われていく、そんな感覚。現実と向きあえば向き合うほどわたしのなかのなにかが薄れていってしまう、そんな感覚。

 

ああ。この映画には葛藤と、青春と、恋と、夢と、焦りと、涙と。「人生のすべて」がお腹いっぱいになるほどぜんぶぎゅーーーって詰まってる。

14歳のときにこの映画を観たとき、わたしは「どうしてわたしは雫のように挑戦できなかったんだろう。雫のように挑戦することを認めてもらえなかったんだろう」と悔やんで泣いたのを覚えている。

24歳のわたしは「わたしにもこんなときあったなぁ。」と懐かしんでは確実に年を重ねてしまったことに心がチクリとした。

10年後、34歳のわたしはこの映画を観て、どんなことを思うんだろう。

 

雫「あいつは自分の才能を確かめにいくの。だったらあたしも試してみる。」
夕子「・・・・・?」
雫「決めた!あたし物語を書く!」
雫「書きたいものがあるの。あいつがやるならあたしもやってみる。」
雫「そうかぁ、簡単なことなんだ。あたしもやればいいんだ!」

 

雫が先に進んでしまう聖司くんに焦りを感じてじぶんを奮い立たせるこのシーンがすごく好き。

 

西「見てごらん。」
雫「・・・・・。」
西「雲母片岩という石なんだがね。その割れ目を覗いてごらん。」
西「そう、そうして…」
雫「わぁーっ、きれい…」
西「緑柱石といってね、エメラルドの原石が含まれてるんだよ。」
雫「エメラルドって宝石の?」
西「そう。」
西「雫さんも聖司もその石みたいなものだ。まだ磨いてない自然のままの石。わたしはそのままでもとても好きだがね。しかしバイオリンを作ったり物語を書くというのは違うんだ。自分の中に原石を見つけて、時間をかけて磨くことなんだよ。手間のかかる仕事だ。」
雫「・・・・・。」
西「その石の1番大きな原石があるでしょう。」
雫「はい。」
西「実は、それは磨くとかえってつまらないものになってしまう石なんだ。もっと奥の小さいものの方が純度が高い。」
雫「・・・・・。」
西「いや、外から見えない所にもっと良い原石があるかもしれないんだ。いや~、いかんいかん。歳をとると説教くさくていかんな。」
雫「自分にこんなきれいな結晶があるのかどうかとてもこわくなっちゃった…」

 

わたしにも雫や聖司くんのようなラピスラズリの輝きがあるかわからない。

わからないけど、いくつになっても雫たちのように自分の可能性を信じて原石を磨く挑戦していきたいと思う。かえってつまらないものになってしまうかもしれない。

焦ることや悲しくなるようなこともたくさんある。でも、そのときはそのときだ。意味があるんだよね。

 

「いこう!午後の気流が見えるとき。星にも手が届くだろう!」

 

 

お父さん「よし。雫、自分の信じるとおりやってごらん。でもな、人と違う生き方はそれなりにしんどいぞ。何が起きても誰のせいにもできないからね。」

 

 「生き方は1つだけじゃない」と話す雫のお父さん。

なんだかわたしの父によく似ていて、18歳の進路を決めるとき・23歳で独立することを相談したときのことを思い出す。

 

わたしの家族はわたしの夢に対して大反対。とくに銀行員で箱入り娘だった保守的な母はそうれはそれは物凄い勢いで猛反対。そして家庭環境も相まって、学ぶことも、東京にいくことも許されませんでした。

結局、小さな普通の大学に通うことになり「絵を描く、作品をつくる、デザインをする」という昔からのわたしの夢は破れ、大きな大きな挫折を経験。

大好きなデザインやアートに触れちゃいけないんだ、これが運命だったんだって諦めて、一切そっちに見向きもせず自暴自棄になっちゃったりしたっけ。でもやっぱり諦めきれなくて苦しくて4年間もがいてた。まるで雫のように毎日焦りを感じてたな。

でもそんな時から6年が経ち、今こうして生きています。

わたしは絵を描いて生きています。

 

なにも勉強してきてないことがコンプレックスで、粗削りなままわたしはなにもかも手当たり次第に習得しようと体当たり。

もしかしたらそうやってわたしのなかのラピスラズリが少しずつ磨かれていったのかも?なんちゃってね。

 

ちなみに、ラピスラズリや宝石たちは”傷”があるから輝いて見えるんだそう。

 

 

2013年、1月。
わたしはフリーランスとして独立すると決め、それを伝えたとき父は言いました。


「26歳までは、自分の信じるとおりやってごらん。遅いも早いもないのだから。」

雫のお父さんと同じですね。

 

 

随分この映画を観返していなかったけど、こうやってあらためてジブリ作品を見てみると昔とはちがう感銘を受けます。

耳をすませば」は単なる恋愛映画じゃない、そう思いました。

 

耳をすませばラピスラズリの輝く音がする。小さな無数の傷をたずさえて。

 

 

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