THE LITTLE ESCAPE

イラストレーターkimixのヨーロッパ旅行記、写真、日々のエッセイ

この夏、Huluを契約してプレゼントしたら親孝行になった話

今年の夏、すこし実家に帰る機会があったので久々に父と長く過ごした。

母が亡くなってから何年が経っただろう。たしかもう7年か、8年か。あるときから数えるのをやめた。家族のLINEでもその話題が出ることはなくなった。

悲しみに慣れるために必要だったのだと思う。


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あっという間に60歳を超えてしまったよ、と父は笑った。

ひさびさに足を踏み入れた実家。ガランとしたリビングにはぽつんとロッキングチェアがあり、その向かいに大きなテレビ置いてあった。父の誕生日に私と姉でプレゼントした大型液晶テレビだ。

2階にあるわたしの部屋も姉の部屋もいまはもうもぬけの殻で物置のような状態になっていた。かつての父と母の部屋も、書斎も。

2階に上がることさえ面倒になっているんだろうなあとなんとなく感じた。ひとりで暮らすには広すぎる一戸建ての家で、部屋を持て余しているんだ。


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昔から、我が家は少し変わった家だった。

テレビ嫌いな父と母だったので家では常にラジオが流れていた。

朝はAMの文化放送、昼からはFMでボサノバを聴き、夕方のニュースはAMに戻って、晩ごはんのあとはFMでゆったりくつろぐ。深夜はAMにしてラジオ深夜便を聴いて育った。

1997年にイギリスのダイアナ妃が亡くなったときも、2001年のアメリカ同時多発テロ事件も、ラジオを聴きながら絵を描いたり本を読んでいた瞬間だったことを今でも覚えている。

「お母さん!なんか大変なことになってる!FMで81.3つけて!」


そういってラジオ局の周波数を叫んだっけ。

そんなんだから小学校でも中学校でも友人とはTV番組の話はあわないし、聴いてる曲も全く違った。でも、わたしはそれが嫌じゃなかった。

KinKi Kidsより、SPEEDより、モーニング娘。より、それよりもジャズとボサノバとバンドネオンが大好きだった。


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父は昔から旅行が好きで、母も海外文化が好きだったので旅行番組と洋画だけはテレビで観ていた。(あと大河ドラマも)

海外ドラマの「24」や「プリズンブレイク」が流行ったときは夜な夜な家族でTSUTAYAに繰り出し、5本で1000円のDVDをレンタルして、ご飯そっちのけでテレビにかじりついた。

ひさびさに実家のテレビをつけ、ふと外付けハードディスクの中をみてみるとあの頃と変わらず大量の旅行番組や映画がそこにあった。

昔の思い出が一気に込み上げてきてテレビの前で少しぼーっとしてしまった。

(この大きなテレビの前で、父はあの頃と変わらず映画と旅行番組を観ているんだ。)


わたしは急いで階段を駆け上がり、物置と化した自分の部屋にポツンと置かれていたテレビから使ってないGoogle Chromeを引っこ抜いてリビングに向かった。


「よし、Huluを契約しよう」


もともとHuluもNetflixも個人で使っていたのでそこからはサクサクッと再契約。

支払いもとは私のままで今回は「Hulu」を契約することにした。

Huluは1契約で個別にアカウントが作れるしアカウントごとにパスワードも設定できる点が良かった。

(別にやましいことはないけど視聴履歴を互いに知らないのって気が楽だと思う。)

まずわたしのアカウントから父専用アカウントを作成し、iPhoneAndroidの両端末からテレビを操作できるようアプリを落とし、PCからでも観れるようにブラウザーをブックマーク…

一応やれることはすべて設定したので父に操作方法を教え、わたしは東京に戻った。

その後、顔を合わすたびに「ひさびさに夜通し24を観ちゃったよ!」とよろこんでくれて

「いつでも好きな番組をテレビで観られるなんてすごいなあ。」「家にいることが楽しくなったよ」「本当にありがとう」


と何度も連絡をくれた。

父があのロッキングチェアに座りながらお酒片手に大きなテレビでジャック・バウアーの死闘を観ている姿が目に浮かぶ。

うれしい。思わずにやにやしてしまった。


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本当、数時間で完了するような作業なんだけど、なんだかここ数年で一番良い親孝行をした気がする。

Webサービスをプレゼントするという親孝行ができる時代になったのか…

曲がりなりにもIT業界で働いているので家族の中で一番インターネットサービス周りの知識がある方だし、こうやって自分の得意なことで喜んでもらえるってすごく嬉しい…とじーんとしてしまった。

わたしの周りでは当たり前のように使っている便利なサービスや家電もまだまだ知らない人が多い。改めて実感した一件だった。



この年末は100億キャンペーンを開催したPaypayがTwitter上で話題になっていたけど地元の友だちは誰も使っていなかったし、

フリマアプリも「便利って聞いたことあるけど本当?なんか怖くて…」といってる人もまだ近くにたくさんいた。

なんとなく新聞やテレビのニュースで便利なサービスがあるとは知っていても、身近な人が利用していたり手軽さを身をもって体感しないと最初の一歩は踏み出せない。

わたしは家族にとってその壁を取っ払える人になりたいな。





さて、ちょっと長くなりそうなので今回は「Huluを契約して親孝行をした話」でとどめておこうと思う。

実はこのあとお掃除ロボットルンバのジェネリック品として名高い「eufy」も実家にプレゼントした。こちらも感動されすぎて腰を抜かすほど大好評だった。

(ルンバ派が多いけど2万以下で買えるのに優秀でわたしはeufyくん大好きです)

「映画・テレビ番組見放題サービス」「お掃除ロボット」と来たのでこの次は「食洗機」をプレゼントしたいと考えてる。

父は男性だし家事が苦手だし、水周りなんてとくに。

安価で工事無しの商品ないかなぁ。今後の食洗機業界に期待!


以上、 #買ってよかったもの 小話でした。




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この文章は2018年にnoteに書いたものを加筆修正して転載しています。